3C分析で自社の現在地を知ろう


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こんにちは、城野優です。今回はマーケティング的戦略に長けている企業が使用している「3C」というフレームワークを使用して、「自社の現在地」を把握する方法をご紹介します。3Cとは、「Customer(顧客)」「Comtetition(競合)」「Company(自社)」を表しており、頭文字がそれぞれ「C」であることから3Cと呼ばれています。

3C分析のゴールは私達が属している「学習塾」というマーケットにおいて、自分達が置かれている立ち位置を理解することです。ゴールに向かうためには、まず自分達がいる「現在地」を知る必要があります。例えば、東京から大阪へ最速で向かうためには、「飛行機に乗れば良い」とすぐ分かるでしょう。なぜなら、「現在地」と「目的地」が分かっているからです。一方で、「シンガポールのラッフルズホテルへ最速で向かってください(ただし現在地はわからない)」と言われた時に、どの手段を使えば最速でラッフルズホテルへたどり着けるか答えられる方は、恐らくいないでしょう。シンガポール国内にいれば電車が最速で目的地にたどり着く交通手段になりますし、地中海にある無人島にいるとすればもしかすると船を作るとこから始める必要があるかもしれません。「現在地」がどこかということによって「目的地」への手段は大きく異なるのです。

ビジネスの世界で現在地を知るためには、3C分析が有効です。顧客、競合、そして自社を分析することによって、自分達を取り巻く外部環境と外部環境における自社の立ち位置を把握することができます。顧客分析では、顧客をマクロ的、ミクロ的に分析します。マクロ的というのは顧客を取り巻く環境の”トレンド”を大きく捉えるということです。前提の話になりますが、塾の顧客というと「受注者=保護者」「役務提供者=生徒」と捉えることができます。つまり財布はお母さんやお父さんが握っていますが、サービスの提供者は生徒になります。従って、顧客は「保護者」「生徒」の両方であると定義し、両方の顧客のトレンドを追いかける必要があります。

「保護者」「生徒」を取り巻く環境を”大きく捉える”とは、例えば「低価格のオンラインサービスが台頭する中で価格への要求が厳しくなっている」「各科目の各論を教えるだけではなく、受験戦略の組み立てから学習指導までのワンストップのサービスを求める方(保護者)が増えている」「マンツーマン型の指導を希望する方(保護者)が増えている」「生徒の数が長期的に減少傾向である」というように比較的な大きな粒度で顧客のトレンドを捉えることです。一方でミクロ的に分析を行う必要もあります。「ミクロ的に分析を行う」というのは、自社(塾)がある地域特有のトレンド、あるいは、自社(塾)のカテゴリー特有のトレンドといった、日本全体の塾産業の顧客に共通するトレンドではなく、地域やカテゴリー特有のトレンドを把握するということです。例えば、自社(塾)がある地域/自社(塾)のカテゴリーにおいて「顧客数が増える要因がある」のか、或いは「顧客数が減少する要因がある」のかは最低限把握しておく必要があります。地域で大型マンションが建設されれば、当然顧客数増大の可能性が見込めます。また、「オンライン予備校」を経営している場合には、「オンライン予備校への登録数が増えている」というトレンドがあれば、顧客増大のチャンスがあります。マクロ的に大きく「顧客」の流れを捉えた上で、ミクロ的にも「顧客」の流れを抑えるということが、「顧客」を理解する上で重要です。

競合分析、自社分析については、「競合の洗い出し」→「競合と自社(自塾)の強み・弱みの特定」というフローで競合分析と自社分析をセットで行うと最終的に自社の分析を客観性を持って行うことができます。まずは、競合を洗い出すところから始めますが、「競合を3社挙げて下さい」と言われて明確に3社挙げることができる方は意外と少ないのではないでしょうか?「敵が誰なのか?」ということが分かっていないと、競合がどんどん進化していなく中で、気がついたら大きな差をつけられていたなんてことになりかねません。一方で、ベンチマークにする競合が多すぎると、「対競合の打ち手」がブレてしまい結局何のアクションを取るべきなのかが分からなくなってしまいます。あえてベンチマークにする競合は3社に絞り、3社についてはしっかりとベンチマークにして追い続けることが重要です(※競合の動きの追いかけ方については別の会でご紹介します)。

3社を競合認定した後は、「競合と自社(自塾)の強み・弱みの特定」のフェーズになります。「競合と比較して自社(自塾)が強いところ、弱いところ」を整理して、言語化していきます。競合と比較して、「有名校への合格実績が高い」「一人当たりの先生の数が多い」「カリスマ講師が多い」、一方で「教室が古くて汚い」「駅から遠く交通の便が悪い」などのように「強み」と「弱み」を整理していきます。競合と比較した上で、「強み」「弱み」が分かれば取るべき打ち手が見えてきます。

1つ気をつけなければならないのは、競合と比較して「弱み」として捉えたことを必ずしも克服する必要がある訳ではないということです。例えば「競合と比較して価格が高い」をことを弱みとして捉えていたとしても、「質の高い授業」「高い合格実績」を実現していれば、顧客にとっても「高い価格」は妥当性があるものとして受け入れられる可能性が高く「弱み」とは言えません。「強み」「弱み」から打ち手を考える時には、単純に「弱みを克服しよう」と考えるのではなく、「顧客視点で考えた時に本当に弱みになるのかな?」「弱みを弱みでなくする方法はないかな?」などと一度立ち止まって考えることも重要です。

今回は塾業界における3C分析の手法をご紹介しましたが是非、「自社(塾)の顧客環境をマクロ的・ミクロ的に分析する」「自社(塾)の競合を3社特定し、競合と比較した自社(塾)の弱み、強みを整理する」ということを実践してみてください。自社(塾)の現在地が今よりもグンと明確になるはずです。

筆 者

城野優(Yu Shirono)

アメリカ合衆国出身。慶應義塾大学在学中に自身の勉強法を”城野式”として体系化し多くの本を出版。また講師として日本全国の生徒、保護者の方のアドバイザリーに従事。大手米系外資系メーカーのマーケティング・宣伝担当を経て現在は大手広告会社に勤務しながら、教育・マーケティングコラムニストとして活動。著書は「なまけものの大学受験勉強法(高陵社)」「きれいにノートは取るな-間違った勉強の常識(ごま書房)」等。

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