ジョンソン&ジョンソン、リクルートに学ぶ理念の作り方~航海型の塾経営を~Part1


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こんにちは、城野優です。今回は非常に大きなテーマ「理念」についてお話させて頂きます。みなさんの中で「塾の理念」を明確に定められている方はいらっしゃいますでしょうか?また、「理念」を定めていらっしゃる方の中で、「理念」が塾の先生の方々やスタッフの方々に浸透していると胸を張って自信を持てる方はどれくらいいらっしゃいますでしょうか?「理念をしっかりと定めていらっしゃる」というだけでも素晴らしいことですが、さらに「理念が塾の先生の方々やスタッフの方々に深く浸透している」という経営をされている方はとても素晴らしいと思います。おそらく、その塾はビジネスとしても大成功しているのではないでしょうか。
そもそも「理念」とは何なのでしょうか?「理念」とは、企業(塾)が”目指す姿”、”実現したい世界”のことです。つまり、企業理念とはその企業(塾)が最終的に成し遂げたい”最終ゴール”のことなのです。皆さんももしかしたら「Mission」「Vision」「Value」という言葉を聞いたことがあるかもしれませんが、「理念」とはMission」のことです。「Mission」という最終的に成し遂げたい世界観を実現するために、「Vison」という目的を持ちます。そして「Vison」を達成するために、大切にする価値「Value」を定めます。つまり企業活動のスタートは「Mission」からスタートするのです。「”理念”を設定するのに何の意味があるのか?」や「うちみたいに小さい塾で理念なんて大げさだよ」と考えるられる方がいらっしゃるかもしれませんが、「理念」がないということは、そもそも「塾が存在する意味(目的)がない」と宣言するのと等しいことなのです。「理念」なく塾の経営を行うことは、目的地なく漂流していることと同じなのです。「理念」という最終ゴールをしっかり定めることで、初めて「ゴール」実現に向けて航海型の塾経営を行うことができるのです。

「理念」と言ってもなかなかピンと来ない方もいらっしゃると思いますので、「理念」作りが非常に上手で「理念」を活用することで優秀な人材を集め、人材を進化させ、企業の競争優位性に変えている企業をいくつかご紹介させていただきます。企業理念と言えば、グローバルエクセレントカンパニーであるジョンソン・エンド・ジョンソンが有名です。企業理念を「我が信条(OurCredo)」と呼んでおり「企業理念」に共感する優秀な人材を惹きつけ、またそれらの人々が一つの同じ方向を見て進んでいける状態を作り出しています。

ジョンソン・エンド・ジョンソンの「我が信条(OurCredo)」は4つの指針から構成されています。1つ目は顧客に対する考え方の指針、2つ目は従業員に対する考え方の指針、3つ目は社会に対する考え方の指針、4つ目は株主に対する考え方の指針です。顧客、従業員、社会、株主に対する指針を明確に打ち出すことで、企業が目指す姿を明確に打ち出しています。例えば、3つ目の「社会に対する指針」でいうと、「我々の第三の責任は、我々が生活し、働いている地域社会、更には全世界の共同社会に対するものである。我々は良き市民として、有益な社会事業および福祉に貢献し、適切な租税を負担しなければならない。我々は社会の発展、健康の増進、教育の改善に寄与する活動に参画しなければならない。我々が使用する施設を常に良好な状態に保ち、環境と資源の保護に努めなければならない。」と明確にジョンソン・エンド・ジョンソンが社会と対峙する姿勢を示しております。例えば、「ビジネスとしては儲かる可能性があるが、環境汚染につながる」のようなビジネスの検討を迫られ時に全社員が「No」と迷わず判断できるでしょう。また、「ビジネスとして失敗するリスクは高いが成功すれば社会に対する大きな影響を与える開発」を行うか行わないかの判断を迫られた時も、「社会の発展、健康の増進に寄与する」という「理念」に照らし合わせ、全員が前向きに検討するでしょう。つまり「理念」が明確化されており、かつ組織に浸透していれば、日々細かくマネジメントを行わなくても、組織のメンバーそれぞれが「理念」に沿って判断を行うためマネジメントのコストをかけずに会社の目指す方向へメンバーを、そして会社全体を向かわすことができるのです。

リクルートも「理念」が明確化され、組織に深く浸透しております。そして、社員全員が高いレベルで「理念」を理解し、自走的に行動を行っていることでも有名です。リクルートは近年分社化を行いましたが、グループALLで同じゴールに向かっていけるよう、「グループ経営理念(ミッション)」を定めています。「 私たちは、新しい価値の創造を通じ、 社会からの期待に応え、一人ひとりが輝く豊かな世界の実現を目指す。」「 私たちは、 一人ひとりが自らの心に従い自分らしいライフスタイルを選択できる。活き活きと輝く社会を実現したいと考える。」「 私たちの目指す世界観は”FOLLOW YOUR HEART”全ての世代、全ての地域の人々が、 より大きな希望を持ち、機会に満ちている社会。」「 自分に素直に、自分で決める、自分ならではの人生。何度でもやり直しができる持続的で豊かな社会を目指す。」「 その社会を実現するため、 私たちは社会からより大きな期待を集め、 一人ひとりの可能性を信じて、新たな機会の提供を目指す。 私たちの果たす役割は”まだ、ここにない、出会い。」という世界観を理念として掲げています。リクルートの経営戦略はこの「理念」を実現する手段に過ぎないと考え、全ての戦略が「理念」に向けて組み立てられています。

今回は、「理念」が重要な理由、「理念」を経営に生かしている代表例をご紹介させて頂きましたが、次回は実際の「理念」の作り方、「理念」を組織へ浸透させる方法についてお話させて頂きます。

筆 者

城野優(Yu Shirono)

アメリカ合衆国出身。慶應義塾大学在学中に自身の勉強法を”城野式”として体系化し多くの本を出版。また講師として日本全国の生徒、保護者の方のアドバイザリーに従事。大手米系外資系メーカーのマーケティング・宣伝担当を経て現在は大手広告会社に勤務しながら、教育・マーケティングコラムニストとして活動。著書は「なまけものの大学受験勉強法(高陵社)」「きれいにノートは取るな-間違った勉強の常識(ごま書房)」等。

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