顧客満足度を高める保護者対応


文責:

  • はてブ

  • あとで

こんにちは、城野優です。塾の経営をされていると「教育業」に従事しているという感覚をお持ちの方が多いかと思いますが、一方で同時に「塾ビジネスはサービス業の側面もある」と感じる瞬間があるのではないでしょうか。特に保護者の方と接点を持つ機会が多い場合ですと、保護者の方から不満を頂いたり、オーダーを頂いた際に、塾ビジネスのサービス業的側面を実感されるかと思います。
今回は保護者対応を戦略的に行うことで、顧客満足度を高め、顧客から選ばれ続けるための体制を作っていく方法についてお話しさせて頂きます。

顧客満足度とは?

塾ビジネスにおける顧客とは一般的に保護者と生徒の両方を指すケースが多いですが、今回は最終的なDecision Maker(意思決定者)ということで、顧客=保護者という前提でお話しさせて頂きます。

顧客満足度を高めることができれば、退塾や他の塾へのスイッチを防ぐことができ、顧客に選ばれ続けることができる、ということは、イメージしやすいかと思います。ところで、「顧客満足度」という言葉は、ビジネス雑誌や経営の勉強会なども頻繁に耳にする言葉かと思いますが、どのような定義としてこの言葉を捉えていますでしょうか?

「満足度」と言っても、どの水準を越えれば、顧客が満足するのかということを理解しておかないと、どのように、そしてどの程度「顧客満足度」を高めれば良いかが分かりません。「顧客満足度」とは、顧客の期待値と実際の提供価値のGAP(差異)のことです。

従って、顧客の期待値>実際の提供価値、という状況であれば実際の提供価値が顧客の期待値を下回っていますので、退塾やライバル塾へのスイッチは時間の問題でしょう。

一方で顧客の期待値<実際の提供価値という状況であれば、実際の提供価値が顧客の期待を超えていますので、退塾やライバル塾へのスイッチを心配する必要はありません。面白いのは、顧客の期待値<実際の提供価値という状況であれば、ライバル塾が価格を安くしたり、サービスの質を向上しても、かなりの確率でライバル塾へのスイッチは起こりません。顧客が満足している状態であれば、満足している状態を失うリスクを大きなリスクとして捉えるため、目の前により魅力的な選択が存在しても高リスクとして捉え、スイッチを控える傾向になるのです。

従って、顧客の期待値<実際の提供価値という状況をなんとしてでも作り出す状態があると言えるでしょう。顧客の期待値<実際の提供価値という状態自体が、ライバル塾への参入障壁となるのです。

顧客の期待値調整を行う

「顧客満足度」とは、顧客の期待値と実際の提供価値のGAP(差異)であると述べましたが、顧客の期待値に答えることができない1番大きな要因として、顧客の期待値が高すぎるというケースがあります。

例えば、現在の偏差値が30台なのにも関わらず、3ヶ月後に偏差値を60まで上げたいと考えているようなケースです。かなりストレッチしたカリキュラムを組んだとしても、一般的には3ヶ月で偏差値が30台から50に上がればいい方です。保護者の方が、明らかに受験の相場感からかけ離れた期待値を持っている場合には、正直に現実的に目指せるレベルを説明し、期待値を受験業界の相場感に合ったものに調整する必要があるのです。いずれにせよ、まずは顧客の期待値を把握し、期待値が高すぎる場合には、期待値を適正水準に下げるというアクションが必要です。

顧客の期待値を把握し、期待値調整するタイミングとしては、入塾前か入塾後のどちらかのタイミングが良いでしょう。入塾前と入塾後に期待値を調整する場合は、それぞれにPro/Conがあります。入塾前に過度な期待値調整を行えば塾に入ってもらえないリスクがある一方で入塾後のトラブルを回避することができるでしょう。一方で入塾後に期待調整を行えば、入塾はしてもらえるものの、入塾後にクレーム案件となる可能性があります。それぞれのPro/Conを踏まえた上で期待値の把握・調整時期を決定されると良いかと思います。

価値を高める

「顧客満足度」を高める方法として、まずは「期待値を適正レベルに下げる」という方法をお話しさせて頂きました。ただし、期待値を下げることだけにフォーカスしていると塾のサービスや実績の水準は低下し、長期的にはライバル塾と比較して競争優位性を失って行くことになります。

従って、「顧客満足度」を高めるためには、「価値を高める」ことに重心の軸を置くことが重要です。価値を高めるためには、短期的な特効薬はありませんので、他の記事でご紹介させて頂いた「理念の構築」「競合モニタリング」等の塾経営の基礎を確実に実行してくことが必要になります。どうすれば、一般的な塾業市場の相場感を超える価値提供を超えることができるかということを常に考え実行していくことが重要です。

今回は、「顧客満足度」とは、顧客の期待値と実際の提供価値のGAP(差異)であるということと、「顧客満足度」を高めるためには顧客の期待値を下げることと提供価値を高めるという2つの方法があることをご紹介させて頂きました。顧客満足度を高めることで、選ばれ続ける塾経営を実践して頂ければ幸いです。

筆 者

城野優(Yu Shirono)

アメリカ合衆国出身。慶應義塾大学在学中に自身の勉強法を”城野式”として体系化し多くの本を出版。また講師として日本全国の生徒、保護者の方のアドバイザリーに従事。大手米系外資系メーカーのマーケティング・宣伝担当を経て現在は大手広告会社に勤務しながら、教育・マーケティングコラムニストとして活動。著書は「なまけものの大学受験勉強法(高陵社)」「きれいにノートは取るな-間違った勉強の常識(ごま書房)」等。

カテゴリー: