保護者対応が塾の売りになる


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塾というビジネス形態の難しさは、サービスの提供を受ける人とサービスの対価を支払う人が別というところにあります。つまり、サービスの提供を受ける生徒を満足させるだけではなく、サービスの対価を支払う保護者をも満足させなければ、ビジネスとして成立しないのです。どちらか片方だけが満足していても、ビジネスとして成功ではありません。しかも両者が必ずしも同じ目的で塾を利用している場合ばかりではないのです。このように複雑なビジネス形態において、経営者はどのようなサービスを提供していけばビジネスとして成功できるのでしょうか。

保護者の二つのニーズ

塾の経営という視点で考えると、経営者は保護者のニーズに焦点を当てるべきでしょう。保護者が満足しなければ、授業料という対価を手にすることができないからです。では、その保護者のニーズとは何なのでしょうか。世間でよく言われているのは、補習と進学です。学校の勉強についていければ十分であり、それ以上は望んでいない保護者がいます。一方、学校の勉強では満足できずにより高度な学習指導を望む保護者がいるのです。補習を望む保護者は子どもに最低限の学習能力を求めており、それに対する対価のみを想定しているため、高額な授業料を期待することはできないという経営者の声があります。このように考えると、塾の経営を安定させるためには高度な学習指導を希望する保護者にターゲットを絞るべきという結論に至ります。

しかし、果たして本当にその通りなのでしょうか。確かに子どもに高い学習能力を望む保護者は経済力があり、そうでない保護者よりも年収が高いということは、東京大学に入学した学生の保護者の年収データからも明らかです。したがって、偏差値の高い学校に進学させることを謳い文句にした塾の経営は、それなりに成功を見込めそうです。

二元論を疑う

そもそも、補習と進学という保護者のニーズ分類は本当に正しいのでしょうか。補習を望む保護者は、本当に高額な授業料を払うことはないのでしょうか。高度な学力を子どもに期待する保護者は、必ず高額な授業料を支払ってくれるのでしょうか。

終身雇用が崩壊し、価値観が多様化した現代において、そのような単純な二元論は過去の遺物のように思えます。高額な授業料を支払う保護者は、その金額に見合う以上の見返りがあることを期待しているため、多くの不満を抱えることも多々あります。例えば偏差値65を維持し続ける生徒の状況を塾サイドは良しとしても、保護者は満足するとは限りません。なぜ偏差値が70にならないのかと不満が募り、他の塾に移るケースもあるのです。逆に補習を望む保護者のケースで、学校の成績が上がった後も「子どもが気に入ってるから」という理由で長期間通わせ続けることもあります。長い目で見た場合、どちらのケースが経営的に良いかは、簡単には決めれないはずです。

塾が親に示すもの

そもそも保護者は、なぜ子供を塾に通わせるのかという本質論に立ち返って考えてみましょう。学校の勉強について行けるようにしたいのは何故なんでしょう。より高度な進学を期待するのは何故なんでしょうか。それは、子どもが将来困らないように、手助けをしているのです。「困る」の程度は違えど、どちらも親として我が子の将来を慮った行動をとっているのです。そう、キーワードは「子供の将来」です。保護者は子供の将来・未来をみているのです。

つまり塾は、保護者に子どもの将来・未来の可能性を示せばよいのです。子どもの将来がより良くなると保護者に思わせることができれば、塾の経営は成功なのではないでしょうか。高度な進学を期待している保護者であれ、学校の補習を期待している保護者であれ、子どもの将来の可能性を感じられる対応を、塾が示せばよいのです。

塾が取るべき保護者対応

保護者には塾での様子を伝えることは当然でしょう。その際に、何をどう伝えるのかがポイントです。進学塾でよくある、「今の調子なら、第一希望の○○校に受かりそうですね」等というのは、もう時代遅れではないでしょうか。調子が崩れて第一志望校に不合格となれば、今はあっという間に悪評が立ちます。「□□君は、解けなかった問題について、なぜ解けなかったのかを本当に真剣に分析していますね。この調子で学習していけば、相当の分析力が身に付きますよ」というように、将来を楽しみにできる話を伝えることが大切です。志望校云々の話はしておかないと目先の満足を得られないので、付け足し程度に伝えておきましょう。

補習塾であれば、塾でいかに楽しく勉強しているかを伝え、勉強に意欲的な姿勢に変わったことをアピールすればよいのです。おそらく「それは塾に行っているときだけでしょ」というような返事が返ってくるでしょう。「様々なことに興味のある年頃ですから、うちの塾に来ていれば集中できるんでしょうね」と切り返せばよいのです。保護者は喜んで通わせ続けてくれるでしょう。

このようにどちらのケースでも、安心できる将来像を保護者に伝えることが、塾にとって必要な対応なのです。

まとめ

保護者が授業料という対価を払う以上、保護者対応を間違ってはいけません。生徒を満足させるだけでは駄目なのです。そして保護者の目先の満足だけを目標にしていては、振り回されて疲弊することにもなります。価値観も多様ですから、一つの価値観を押し付けてもいけません。保護者対応で大事なことは、保護者に子どもの可能性を示し続けることなのです。今していることが将来にどうつながるか、どう成長しているのかを示すことです。但し、目先の満足感にも配慮をしましょう。特に父親は、結論を先ず求める傾向があります。遠い先のことばかり言われても、今が問題だらけでは可能性を実感できないからです。

Gaku

大学入学直後から塾講師のアルバイトを始め、大学3年時には大手の進学塾講師となる。そこで経験した「研修」に魅了され、週4日授業を担当して、学生ながら新卒の年収以上を稼ぎ出す。大学卒業後も、塾講師のやりがいを忘れられず正社員として大手進学塾に再就職。現場経験を計15年積んだ後は、本部職員として事業計画・売上予測作成や収納管理、人事、財務の経験を積む。現在は創業支援や外国人のビザ申請取次などをする行政書士として事務所を経営中(http://www.gaku-office.com/)。

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