学習塾業界で良い口コミが生まれやすい時期と注意点


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「通塾されている生徒さんや保護者の方全員が満足している塾」って、想像したらすてきですよね。「良い口コミ」が生まれ、どんどん生徒さんも増えて、保護者のかたも生徒さんも先生方もニコニコ。しかし、現実は、一生懸命やっていても「悪い口コミ」が生まれてしまうこともあります。どうしたら、冒頭のような、みんなが満足している塾ができるのでしょうか。

それには「指導方法」に加え、「生徒対応」「保護者対応」など様々な要素がありますが、今回は「保護者対応」を中心に保護者のかたの満足度を高める「良い口コミ」が生まれる時期と注意点をお伝えします。

「良い口コミ」は絶大な集客効果がある

最初に生徒の集客をする上で広告等の媒体は有効ですが、生徒が徐々に集まってくると、その後、絶大な集客効果を発揮するのは「良い口コミ」です。地域のママたちはよく学習塾の情報交換を行っていますし、定着するまでは塾間での流動性もあります。しかし、口コミというものは、「悪い口コミ」も広まりやすいので注意が必要です。それでは、どうすれば「悪い口コミ」ではなく、「良い口コミ」が広がるのでしょうか。

「良い口コミ」が広がる時期とは?

実は「良い口コミ」が広がる時期には、ある法則があります。それは「入塾半年の生徒や保護者」から「良い口コミ」は広まりやすいということです。入塾半年を超えると、満足していても「良い口コミ」は広まりにくくなります。逆に早すぎると「よくわからない」というのが実際の感想でしょう。人は基本的には「満足感」を感じると、他の人に伝えたくなります。「良すぎて隠しておきたい」なんて人もたまにはいますけどね。

どうしたら「入塾半年」で良い口コミを伝えてもらえる?

「入塾してすぐの時」は、「わからないことがあれば聞いて下さいね」と保護者や生徒に伝えたところで、「そのわからないこともわからない」ということが往々にしてあります。しかし「入塾半年」ともなると、保護者や子どもは様々な疑問がふくらんでくる時でもあります。子どもによっては少し躓きはじめる時期でもあるのです。先生自身は子どもの学力や性格を把握している時期でしょう。その時にしてほしいのはすかさず「保護者面談」もしくは「3者面談」です。ここでのポイントは「今できていること」「今後の展望」を必ず伝えることです。

事例:入塾半年Aくん(小学4年生)

学校でのテストの調子が思うように上がらない入塾6ヶ月・小学校4年生のAくんの実際にあった事例です。その日は学校で算数のテストが返され、Aくんがとぼとぼと帰ってきました。

Aくん(以下、A)「ただいま。今日の学校の算数のテスト…」

Aくんの母親(以下、母)「(テストの点数を見て)え!50点!?塾もいってるのに何してるの?塾もタダじゃないのよ!」

A「今日のテストは難しかったんだって!」

母「(テスト用紙をちらり)そんな風には見えないけど。それにしても塾に半年も行ってて、前より点数下がるってどういうことなのよ!」

Aくんのお母さんは考えます。『塾の先生に様子を聞いてみた方がいいかな?でもモンペと思われるのも嫌だし、もう少し様子をみようかな…』と。しかし、このお母さまには少しずつ、確実に不満が溜まっていくのです。

このまま放置すると、Aくんのお母さまは、確実に他のお母さま方に「あの塾に行ってるけど、全然学校の成績も伸びなくて。他の塾にしようかな。誰かいい塾知らない?」と聞いていることでしょう。これですでに「悪い口コミ」の誕生です。

良い口コミが広がる学習塾の対応

ここでこの「良い口コミが広がっている塾」の先生は、Aくんの学校での成績も把握し、放置せずに、きちんと保護者面談をしました。こんな感じです。

先生「Aくん、最近、算数の文章問題をよく読んで解けるようになってきました。前は文章題が苦手そうで、入塾テストでも文章題の部分は飛ばしていましたよね」

A母「そうですか。でも、学校の成績は伸びなくて…。以前より点数が下がってきてしまったんです」

先生「それはご心配でしたね」

A母「はい。本人にもやる気がないように感じられてしまって」

先生「それは違います、Aくんとても頑張っていますよ。今、ちょうど知識が増えて、伸び悩んでいるように見える時期でもあるんです。家の片づけと一緒なんですよ。きちんと片付けようとすると、途中で一度散らかりませんか?」

A母「そうですね、私もいつも片付けようとしたはずが散らかってしまいます」

先生「勉強も同じで、正比例のグラフみたいにまっすぐ勉強ができるようになっていくわけではないんです。できたりできなかったりを繰り返して、でも、その中でも徐々にできるようになっていっているんです。Aくんは以前より確実にできることが増えていますよ。たとえば、入塾テストと前回やった復習テストを比べてみると、一見点数は変わらないように見えるんですが、入塾当時と比べてみると、手順自体は合うようになってるんです

A母「Aはおっちょこちょいで、焦ってやるから、ケアレスミスがたくさん出るんです。それも悩みの種で…」

先生「塾ではこれくらいの宿題が毎回出てますし、宿題も毎回きちんとしてきて、Aくんって本当にすごいんですよ。Aくんは宿題のケアレスミスも塾できちんと自分で直しているので、ケアレスミスはどんどん減っていきますよ。今でも少しずつケアレスミスが減ってきているのが私はわかっています。ケアレスミスがこのまま減って行けば、Aくんは、これからぐっと伸びてきます!楽しみですね!」

A母「はい」

先生「半年後にはこのあたりの学習を予定しています。この問題、実は今やっていてAくんの得意な基礎問題の応用なんです。これはAくんならきっと解けるし、解けると本人の自信にもつながりますよ!

…とまあ、こんな具合だったようです。下線をひいたところで「今できていること」「今後の展望」をお伝えしているのが分かりますか?この面談を通して、保護者のかたも不満を伝えて落ち着けますし、前向きな今後を想像することができますね。

大事なのはタイミングと伝える内容

「良い口コミ」が広がる学習塾は、「指導内容」「生徒対応」などはもちろんですが、「保護者対応」が抜群に上手です。タイミングを逃さず保護者の方とお話をし、きちんと現状を伝え、今後の展望についてもお伝えしておきたいですね。

塾の経営は「指導」だけでなく「保護者対応」などが大変そう…、と思うかもしれませんが、コツを知っていてれば意外に簡単です。そのコツを知っているか、知っていないか、は順調な経営となるかならないかの分かれ道となるともいえるでしょう。

私自身、これまで200教室以上の塾を見てきました。田舎に立地していても非常に順調で開塾3年で数百人規模となった塾から、時には、とても不調で良い立地にも関わらず生徒が1人になり閉塾しなければならなくなった塾もありました。その中から、順調な塾に共通する要素をこのコラムで少しずつお伝えできればと思います。

筆 者

izumi

教育コンサルタント・教育研究職として教育業界に従事。学習塾のアドバイザーとして勤務する一方、科学的に教育を検証し、指導者・先生向けの指導講演も担当。関わった教室数は200教室以上。自身も代行で学習塾を運営した経験を持ち、半年で生徒数を倍増させて経営を軌道に乗せる。(出産を機に、フリーライターに転向。)現在は子育てや教育に関する記事を執筆しながら、塾業界への指導・経営相談や保護者へのアドバイスも行っている。

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